当Blogのご案内

はじめまして、ようこそ。

はじめまして。kemomoと申します。
このBlogは、上橋菜穂子先生の長編小説『獣の奏者』へのリスペクトから生まれた二次創作小説を公開するために開設したサイト『エリンの木の下で』のブログコンテンツ部分にあたります。
2010年8月頃、小説の公開にあたり、そのいきさつを書き記してみようと思いたち、プログを始めたのですが、当時はその一作だけで終わるつもりだったものの何故か書きたい気持ちが消えず、時々新作を追加しているため、このブログはその更新情報と上橋先生の話題を中心として、続けております。
見つけてもらえて、嬉しいです。

詳しいご紹介や二次創作小説は、→のロゴからアクセスした先の本館にてお読みいただけますが、『獣の奏者』をご存知でないかたには、まったくお楽しみいただけるものはないと思われます。とりあえずお引き取りいただき、原作をお読みいただいてからまたお越しください。お待ち申しあげております。

なお、原作者である上橋菜穂子先生はじめ、版元である講談社さまほか、すべての関係者各 位と当サイトおよび私kemomoは無関係です。
当サイト内の全ての文章・画像の無断転載および、Top以外の特定ページのURLを他所に貼られ ることはご遠慮ください。

【重要】SS閲覧用IDとパスワードのリクエストについて

『獣の奏者』二次創作小説の閲覧には、諸事情にてアクセス制限を課しております。 IDとパスワードがどうしても見つからない場合は、ここ(BLOG)の右→フォームメールにてお問い合わせください、ということになっているのですが、メールサーバがスパム認定してしまうことが年に数回あり、ちょっと改善のしようがない状況です。 大変恐縮ですが、もしリクエストして数日経ってもこちらからの返信がない場合、このポストのコメント欄にその旨お知らせいただけると有り難いです。「パスワードまだ? by○○(リクエストしたときのハンドルネーム)」と一行書き残してくださいませ。リクエスト時に正しいメアドを書いていただいてあれば、またメアドを書いていただく必要はありません。 どうぞよろしくお願い申し上げます。

2010年10月28日

イアルさんの会話術

『エリンの木の下で』を書いていた当時、K教官のご指導を仰いでいたことは前にも書きましたけど、特にK教官の分析が秀逸だったのが、イアルさんの論法についての解説でした。
K教官は、私の書いたイアルさんとエリンさんの会話のシーンがどうにもまどろっこしかったと直感的に思われたそうで、どうすればイアルさんらしい語り口になるのかを、凡例をあげて解説してくださいました。以下、K教官からのメールの、ほぼ原文ママです。

-----
イアルさんの会話パターンがですね…。
あるものの説明が

@序論・導入・一般的な説明
A例示して説明を深める・展開させる
B本論・自分が最も主張したいことを説明する
C結論

みたいに進むわけですよ。論述における起承転結というか。

ひとまず、王獣編のラザル王獣舎でのイアルさんとエリンの会話、
「風の夜」のとこ見てください。
「あなたは、いまもそうして、柵の内側に入って餌をやっているのだな」のところからの会話。
ここは、色々言っているようで、

1.イアルさんからエリンへの質問
2.エリンからイアルさんへの質問

の2つのテーマで会話しています。
「あなたに会えたら、聞きたいと思っていたことがあるのです」

からが2.エリンからイアルさんへの質問、として─
「私が神の奇跡を演じたら、
この国のひずみが消えると思いますか」
の質問に対して、何故yes/noで答えずに、
自分語りが始まるのか? にちょっと注目してください。
ここには、色々隠れてるのでは。

イアルさんは、エリンが本当に聞きたいことが、
「わたしはどうすればいいと思いますか」だと看破し、
「あなたが聞きたいことはこういうことですね」
とも言わず、

@序論の「この国は今こうなっているから…」
という説明もスパッと飛ばして
Aの「例示して説明する」から入っています。

例示方法も論述法として非常に技術が高いです。「堅き盾」
がこの国のひずみを体現していること、人の見方はその立ち居地によって異なることを同時に説明しています。自分の立場をはっきりさせた上で、B本論、シュナンの言葉に入ります。
言葉の内容は、一度言ったのでけして説明しません。
シュナンの言葉を伝えただけで、
エリンは結論が分かったようです。まあ、全部喋っちゃうとネタバレするからですけど。
他のところも割とこういう喋り方をしています。A─B…(C)  とか、B─C─(A?)みたいな感じ。

こういう喋り方をする人は、「話が早い」のです。
慣れると非常に話しやすいのですが、「早すぎてついていけない」
という人も居ます。
こういう人が、@─A─B─Cみたいな順当な喋り方をしてると、
「何まどろっこしい喋り方してんの?」と違和感が生じるのです。

よって、結論。イアルさんの喋り方の特徴。


その1:いきなり例示または本論あたりから入る。

その2:話が早い。
その3:一部はエリンに言わせる。
その4:みなまで言わない。
説明としては不親切なくらいでとめておく。
読むのは原作読者だから大体分かる。

-----

いかがですか。

そして、『刹那』の中にも、イアルさんらしい語り口がありましたね。
ひとつは、「刹那」のp.24〜25の、エリンさんをラザルに送りながらする会話の中。イアルさんのセリフは3つありますが、このセリフの順序がまさに、「話が早い人」のそれ。察しのいいエリンさんですら、とっさに理解しきれずに訊き直してしまったというくらいの。
もうひとつは、「初めての……」のp.322。ジェシを乳離れさせられずに困っているエリンさんとの会話です。
このへんを読みながら私は、K教官の解説を思い出して「おお!」と思っていたのです。

それにしても、イアルさんの人物像を、口調ではなくてセリフの組み立てかたでここまで描き出してしまうなんて、上橋さんはすごい、とあらためて思うのでした。
posted by kemomo at 10:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 『外伝・刹那』関連
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/41511801
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック